岩木一麻「がん消滅の罠」原作者は元がん研究者。現在は、医学従事の経歴から「がん啓発」想いをドラマに託し医療系出版社に勤務。

ドラマ特別企画TBS『がん消滅の罠〜完全寛解(かんかい)の謎〜』が2018年4月2日夜8時〜放送予定。宝島社の第15回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した作品の原作者である岩木一麻(いわき・かずま)氏は、神戸大学大学院から、国立がん研究センター、放射線医学総合研究所で研究に従事した経験から、「癌の医療技術を使えば、犯罪が実行可能ではないか」と思うようになり、”がん啓発”の想いを胸にミステリー小説を執筆。現在は、医療系出版社に勤務するという経歴を持つ。岩木一麻氏とは、どんな人物なのか、その経歴から紐解いていきます。

ドラマ『がん消滅の罠〜完全寛解の謎〜』、原作は岩木一麻氏の小説

がんは、生涯に日本人の2人に1人がかかるとされる病気。
「がんとともに生きる時代」と言われる中「患者さんやご家族は一生懸命癌について勉強し知識を得る一方、一般の方には「癌=死」という特殊なイメージが今もなお残っている」と”がん”に対する社会の理解が不十分であることに警鐘を鳴らす人物こそ、『がん消滅の罠〜完全寛解の謎〜』の原作者である岩木一麻(いわき・かずま)氏です。


左から桐山徹也、柏木伸介、谷原章介、岩木一麻、三好昌子の各氏(出典元:読書人ウェブ

原作本は、宝島社の第15回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞。
1月に発売されると、すぐに話題となり、発売から1カ月で15万部超のベストセラー。さらに「週刊文春」「週刊朝日」「週刊現代」他各紙誌で評価される医療を舞台にした本格派ミステリー小説と話題に。

『がん消滅の罠〜完全寛解(かんかい)の謎〜』作品概要
呼吸器内科の夏目医師は、生命保険会社勤務の友人からある指摘を受ける。夏目が余命半年の宣告をした肺腺がん患者が、リビング・ニーズ特約で生前給付金を受け取った後も生存、病巣も消え去っているという。同様の保険金支払いが続けて起きており、今回で四例目。不審に感じた夏目は同僚の羽島と調査を始める。連続する奇妙ながん消失の謎。がん治療の世界で何が起こっているのだろうか……。

しかし、元研究者が、ミステリー小説にトライするというのは、簡単なことではなかったようで。

◆このミステリーがすごい!』大賞受賞までの苦労談「1年間ミステリーの書き方を勉強」

2次選考落ちした2015年の第13回選考に応募した作品と今回とで同じトリックを使いました。その後、1年間ミステリーの書き方を勉強しながら、第13回の応募作から大幅に書き直し、今回の作品を仕上げました。第13回選考で選考委員の方からいただいたアドバイスをしっかりと反映させ、エンドマークまで書き上げたときには、これまでのミステリーとは違う作品を作り出すことができたという自信を持つことができました。他の賞に応募しようとは全く思わなかったですね。(薬事日報より)

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とのことで、アドバイスを元に、1年間書き方を勉強してようやくたどり着いた大賞だったようです。

『このミステリーがすごい!』大賞とは──
宝島社が1988年から発行しているミステリー小説のブック・ランキングを掲載するミステリーのブックガイド『このミステリーがすごい!』から派生し、2002年に創設されたミステリー&エンターテインメント小説の新人賞。主催の宝島社が文芸界に“面白い作品・新しい才能を発掘・育成する新しいシステム”を構築することを意図として創設。毎年1回、ミステリー&エンターテインメントの未発表作品を募集。第1次選考、第2次選考、最終選考という3段階の選考を経て、受賞作を決定する。ベストセラー作家への登竜門と言われ、大賞賞金は小説新人賞史上最高額の1200万円。ちなみに、ガイドブックの『このミステリーがすごい!』は、発刊開始以来毎年1回刊行。掲載されるミステリー作品のランキングは目利きによる選者たちによる投票形式で選ばれ、国内部門と海外部門でそれぞれ作品が紹介される。近年では「このミス」という略称で出版業界をはじめとするメディア、書店、読者にその名称が浸透し親しまれている。

岩木一麻氏のプロフィールと経歴

(出典元:NEWSポストセブン)

岩木一麻(いわき・かずま) 1976年3月生まれ。
埼玉県出身、千葉県在住。神戸大学大学院自然科学研究科分子集合科学専攻修了。国立がん研究センター、放射線医学総合研究所で研究に従事。その経験を生かし、執筆した第15回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2017年に『がん消滅の罠―完全寛解の謎』にてデビュー。現在、医療系出版社に勤務。(薬事日報より)

もともとが、がんの研究者だったという岩木一麻氏。
なぜ、国立がん研究センターがんをテーマにミステリー小説を書こうと思ったのか。

◆なぜ、岩木一麻氏はがんをテーマにミステリー小説を?「癌=死」という古いイメージに一石を投じたい

「執筆動機は2つあって、1つはこの方法でのがん消滅のトリックを研究者時代に思いつき、それをトム・クランシーやマイケル・クライトンのような手に汗握る小説に書きたかったこと。もう1つは、日本人の2人に1人ががんになる時代なのに、多くの方はがんのことをよく知らないからです。

医学の進歩で、長期間の延命も、痛みのコントロールも可能になってきているのですが、がん=悲惨な死というイメージを持つ人はいまだに多い。もっと正確な情報をミステリーとして読めれば少しは状況も変わるかもしれません」(引用元:NEWSポストセブン)

岩木一麻氏の癌研究は、国立がん研究センターで昆虫の研究をしていた際、モンシロチョウから見つかった抗癌蛋白質のピエリシンの研究を始めたことがきっかけとなる。(チョウの幼虫に、盛んに増殖するがん細胞をアポトーシス=ある種の自殺に導く物質がある。詳しいことはこちらの記事にて)

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不可能な状況で”がん”が消失するミステリー

その後、放射線医学総合研究所でも癌研究を進めるうちに、「癌の医療技術を使えば、犯罪が実行可能ではないか」と思うようになったことで、執筆活動を始める。確かに、これまでのミステリー小説におけるトリックの対象は、凶器やら死体といった”目に見える物質”であったのに対し、”がん”が消えるトリックなど前代未聞。

日本がんセンターの腫瘍内科医・夏目の同僚・羽島がが「殺人事件ならぬ活人事件」というように、”がん”が消える寛解は歓迎すべきことなのだが、なぜ癌は消えるのか?と、主人公が様々な仮説を立てて推理をするのが、そのことに囚われまんまと偽造の痕跡を見逃す主人公。そこには恐るべき計画が隠されているとも知らずに。このように、予想した結果とは全く違う結果になったときの驚きや試行錯誤するようしに、元研究者としての自分を重ねているのだという。

「癌=死」という古いイメージに一石を投じたい

ただ、何より岩木一麻氏が”がん”を主題に選んだ理由は、癌患者さんとそのご家族が抱える思いと、一般の人たちが抱く癌に対する漠然としたイメージとの乖離をなくしたいとの思いから。「「癌=死」という特殊なイメージが今もなお残っている」と”がん”に対する社会の理解が不十分であることに警鐘を鳴らす岩木一麻氏。”がん”が消えるトリックには、生命保険の生前給付を受けたものが完全不可能とされてきた完全寛解に至るという設定にも、メッセージ性を感じる。

ドラマ『がん消滅の罠〜完全寛解の謎〜』番組情報


ドラマ特別企画TBS『がん消滅の罠〜完全寛解(かんかい)の謎〜』は、2018年4月2日夜8時から3時間の長編で放送予定。

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