NHKドラマ「どこにもない国」原作は 丸山邦雄の息子・著「満州 奇跡の脱出」あらすじ・みどころ・感想

NHK総合にて、【前編】3月24日(土)21時00分~【後編】3月31日(土)21時00分~の放送日程で、NHK特集ドラマ「どこにもない国」がテレビ放送予定。終戦後、旧満州に取り残された150万を超える日本人の帰国に奔走した男たちの姿を描くと言うあらすじのドラマで、原作は、丸山邦雄の息子・ポール 邦昭 マルヤマ著「満州 奇跡の脱出」を原案に描かれている。ドラマの見所と原作の感想も合わせて、書いています。

NHK特集ドラマ「どこにもない国」原作

NHKが今回の特集ドラマ制作に踏み切ったのは、どうしてなのか。

個人的には気になるところですが、満州国について調べてみると、「五族協和」と言うスローガンがよく知られていることがわかりました。
五族とは、日本人、朝鮮人、漢人、満州人、モンゴル人。実際には、ユダヤ人も満州国には在留していて、複数の民族を表していると考えていいそうなのだけど、何れにしても、その頂点には当時、指導的立場にあった日本人がくることを基本理念とする言葉なのだそう。現代となっては、朝鮮半島は分断されてしまい、政治情勢は決して良いとは言えませんが、過去を知れば、かつて「五族協和」の仲にあった民族が仲違いしているのか。と言うのが少しでも見えてくるんじゃないか、というようなメッセージも少しは働いているんじゃないかなと、そして、その時に在留日本人を救った人物のおかげで、今の私たちがあると再認識できるような気がしますね。

ことさら、日本人が頂点などと、戯言をいうつもりなど一切ありませんし、他国から学ぶことも多いものです。
先日閉幕された平昌五輪では、まさに平和の祭典にふさわしい、それ以上の感動を選手からいただきました。
ただ、たとえこの平和が刹那的なものであったとしても、その過去には、壮絶なドラマがあったのですね。

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終戦直後の「満州国」では、一体何が起きていたのか?

「満州国」には、夢がある。
農村人口の過剰により、次男以下は働き口がなかった時代。
満州に行けば十町歩(約3万坪)以上の広大な土地が与えられる。みんな希望に萌え、子供が生まれ、未来のある生活を夢見た。
しかし、数年後の終戦直後、彼らを待ち受けていたのは、あまりにも酷い運命。

終戦直後、日ソ不可侵条約を無視して、ソ連軍が無鉄砲に在留日本人を襲撃。
関東軍はとっくに逃げており、盾も剣も、鎧もない民間人だけが取り残された世界で、ソ連軍は、荷物や衣類を剝ぎ取るばかりではなく、夫人への暴行も働いた。終戦当時の満州では、ソ連軍や中国人など共産党軍や国民党軍で、溢れ、現地法人は、危険な状態。奉天には、各地から日本人が避難し、難民収容所となった小学校には、病気の老人、飢える子供、膨大な量の死体で溢れかえっていたという。

暴行、殺害、饑餓、凍死。

丸山邦雄の息子 ポール・邦昭・丸山 著「満州 奇跡の脱出」

こうして、旧満州国に取り残された日本人の数は、150万人を超えると言われ、同胞の帰国のために働いたのが、今回ドラマ化された人物・丸山邦雄氏です。NHK特集ドラマ「どこにもない国」、原作はありませんが、原案は、丸山邦雄の息子 ポール・邦昭・丸山氏が6年がかりで書きあげた「満州 奇跡の脱出」です。ここでは、終戦後、旧満州に取り残された150万を超える日本人の帰国に奔走した3人の男たちの姿が描かれています。

「満州 奇跡の脱出」のあらすじ・みどころ・感想

あらましだけを聞けば、ナチス・ドイツの迫害によりポーランド等欧州各地から逃れてきた難民たちにビザを発行した杉原千畝のストーリーともかぶるわけですが、原作のあらすじは下記の通り。演説や日米の要人に直接的な働きかけを行うなど、もっと草の根的で、地道な様相が伺えます。

あらすじとみどころ

終戦後、日本の傀儡国であった満州にはおよそ170万の日本人が暮らしていた。敗戦とそれに続く満州国解体により、彼らは故国・日本へ帰還することも出来ず、ソ連の侵略による恐怖のなか満州に取り残され、棄民同様の悲惨な生活を強いられる。そうした人々を日本に引き揚げさせるべく奔走したのが丸山邦雄、新甫八朗、武蔵正道の3人である。彼らは危険を冒して満州を脱出した後、日本各地で世論喚起の演説を行なう一方、マッカーサーGHQ最高司令官や吉田茂外相(のち首相)をはじめとする日米の要人に働きかけ、ついに敗戦から8ヶ月後の1946年4月、在満日本人の引き揚げを実現させた。使命に燃える3人の献身的な活躍を、当時の歴史的背景および満州における日本人の暮らしぶりとあわせてヴィヴィッドに描いた感動のノンフィクション。(引用元:T−SITE

ここで、3人の男とは、本の執筆者であるポール・邦昭・丸山の父・丸山邦雄。
そして、後の二人は、

・資金力に富む実業家・新甫八朗(ポール・邦昭・丸山氏曰く、経営していた会社の中国人従業員の信望も厚く、中国国民党の地下司令部と接触できたのも、そうした人のつながりからだった。)
・中国語を操る快活な若者・武蔵正道(ポール・邦昭・丸山氏曰く、中国語に通じ、やはりその人柄から中国の人たちの強い信頼を得ていた。)

ポール・邦昭・丸山氏自身も、引き上げされた一人ですが、当時5歳。

ポール・邦昭・丸山氏の現在と作品に込めた想い

満州に関する記憶はほとんどないと言いますが、必要なことと考えたから実行したまでで、特別なことではない、との考えで、母も父も、当時のことは詳細には教えてくれない。大人になってから、丸山邦雄父の書いた『ユートピアを目指して:アジアの曙——死線を越えて』と『なぜコロ島を開いたか——在満邦人の引揚げ秘録』を読んだ時、「どうして、自分の父たち3人の話は誰にも知られていないんだろう」と不思議に思い、「日本人だけでもアメリカ人だけでもなく、もっと広く世界の人にこの事実を知ってもらいたい。」と、英語で本の執筆を決意。

ヴァージニア州にあるマッカーサー資料館やメリーランド州にある国立公文書館、ニューヨークにあるメリノール宣教会に出かけ、資料を探り、人と出会い、出版にこぎつけた。出版後は、「私は引揚者だけれど、この話は全然知りませんでした」と日本からメールがくることもあったようです。(参考元:歴史の事実を知り、交流をつなぐことの大切さ。 | STAGE ∞(infinity))

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読んだ人の感想

3人の命を惜しまぬ活躍を見て、非常に勇気を与えられた。今の日本人に最も読んでもらいたい本だと思う。(60代男性)

昭和21年秋、コロ島から両親の遺骨とともに引き揚げた時のことを想い、涙を流しながら一気に読みました。引き揚げの裏に丸山さんら3人の活躍があったことを知り、手を合わせて感謝しました。(80代女性)

両親が満蒙開拓団の一員として満州に渡り、昭和21年に引き揚げてきました。丸山さん達の決死の覚悟のおかげで引き揚げが実現したことを初めて知りました。ありがとうございました。(60代男性)

戦中は陸軍兵卒として満州に駐屯し、敗戦で部隊が解散した後の昭和21年夏、コロ島より復員しました。本書を読んでいると当時のことが生々しく蘇ってきます。私にとっては忘れることのできない一時期でした。(80代男性)

戦前戦中の日中史に興味があり本書を購入した。引き揚げ実現に尽力した3人の活躍だけでなく、満州を巡る当時の国際状況、一般市民の暮らしぶりもよくわかり、素晴らしいノンフィクションだと感じた。(30代男性)

両親が満州からの引揚者ですが、私にはその記憶が無く、その当時のことを知りたいと考えたときにはもう二人とも他界していました。もっと話を聞いておけばと悔やまれますが、本書を読んで当時の状況の一端を知り、救われた想いがしました。(70代女性)

(引用元:http://www.hakurosya.com/manchuria/)

NHK特集ドラマ「どこにもない国」番組情報

番組情報について、詳しくは、下記をご覧ください。(参考元:公式サイト

NHK特集ドラマ「どこにもない国」放送日程・時間

  • 【前編】3月24日(土)21時00分~
  • 【後編】3月31日(土)21時00分~
  • 【作】
    大森寿美男(大河ドラマ「風林火山」大河ファンタジー「精霊の守り人」シリーズ)
  • 【原案】
    ポール・邦昭・丸山 著「満州 奇跡の脱出」より
  • 【音楽】
    川井憲次(大河ドラマ「花燃ゆ」・連続テレビ小説「梅ちゃん先生」)
  • 【出演】
    内野聖陽、木村佳乃、原田泰造、蓮佛美沙子、満島真之介、片岡鶴太郎、萩原健一 ほか
  • 【演出】
    木村隆文(NHK)
  • 【制作統括】
    中村高志(NHK)
  • 【収録予定】
    2017年9月から10月

NHK特集ドラマ「どこにもない国」あらすじ・内容

ソ連占領下の旧満州。全財産を失い、略奪暴行にさらされ、日本との通信連絡も途絶し人々は暗闇に取り残された。一日平均2400人が命を落とす極限状況を打開するために立ちあがったのは無名の民間人だった。丸山邦雄(内野聖陽)は自らが使者となって日本へと脱出し、窮状を訴え、日本を、そしてアメリカを動かすしかないと決意する。英語が堪能な丸山。資金力に富む実業家、新甫八朗(原田泰造)。中国語に堪能で快活な若者、武蔵正道(満島真之介)。チームを組んだ三人は、妻や家族を満州に残し、幾多の絶体絶命のピンチを乗り越え、遂に脱出に成功。吉田茂(萩原健一)、マッカーサーに早期の引き揚げを直言、さらにラジオで引き揚げの緊急性を訴え世論を大いに喚起していく。遂に、100万を超える在留邦人の満州からの引き揚げは実現した。その中には丸山の妻・万里子(木村佳乃)、新甫の妻・マツ(蓮佛美沙子)の姿もあった。だが、彼らを救うために闘った3人の男がいたことを殆どの在留邦人は知る由もなかった。

NHK特集ドラマ「どこにもない国」主演・キャスト・出演者

丸山邦雄…内野聖陽
政治学を学ぶため大学卒業後、米国に留学。政治学の研究者を志すが、軍国主義下の言論統制に嫌気がさし、満州に新天地を求める。終戦時には鞍山にある満洲製鉄に勤務。名著「ユートピア」に感銘を受けて、理想の実現のためにたゆまず努力することを信条とする。終戦後、同胞の窮状を見かねて、満州脱出を計画する。ポール・邦昭・丸山氏曰く、英語が堪能で、アメリカ人の思考にも理解があったことが、GHQとの交渉に大いに奮闘した人物。

丸山万里子…木村佳乃
留学中の丸山と結婚した日系二世。米国名はメアリー・タケダ。終戦時、4人の幼い男子の母でありながら、不安を訴えることもなく丸山を送り出し、大連に子を連れて避難。丸山脱出後、10か月もの間、強い意志と愛情で子たちを守り抜く。

新甫八朗… 原田泰造
度胸の良さと独特の商才で、満州17都市に支社を持つ建設会社・新甫組の社長となる。終戦直前の7月、「根こそぎ動員」で召集されるが、敗戦を知ると部隊を脱走し家族の待つ鞍山に帰還する。丸山から誘われ同志となり、行動力と資金力で脱出行を支える。

新甫マツ…蓮佛美沙子
八朗の妻。二人の男の子の母。夫の脱出行が失敗したのではと一時は絶望的になるが、万里子に励まされ、母として気丈に生きていく。大連で身を隠している際に、素性が見破られそうになり、現地のカトリック教会でかくまわれる。

武蔵正道 … 満島真之介
新甫組の社員。中国語に堪能で、新甫に心酔している。わけへだてない気さくさで現地の人からはウーザン(武蔵の現地読み)と慕われる。得意の中国語で脱出への糸口を作る。のちに危険を顧みず満洲に戻り、スパイ容疑で拷問を受け死地をさまよう。

岸本綾夫… 片岡鶴太郎
満洲製鉄理事長。元陸軍大将にして東京市長を歴任。終戦後、鞍山の製鉄所と社員・家族の生命を守るため奔走するがソ連軍に身柄を拘束され、やがて中国共産党軍によって逮捕される。丸山から脱出の計画を告げられ、協力者として新甫を推薦する。

吉田茂… 萩原健一
元外務次官・駐英大使。終戦時は無役だったが、前任者が更迭されたため外務大臣に就任。翌年には総理大臣となる。戦前、駐英大使時代に欧州旅行中の丸山と知り合う。引き揚げを直訴する丸山に、占領下の日本には外交が存在しないため草の根で世論を盛り上げるようアドバイス。側面から支援する。

他、ジェームズ・コールマン,シドニー・スタンファー,田中要次,有薗芳記,張春祥,

以下の記事も書いています。
丸山邦雄氏と、家族に関する情報です。

丸山邦雄 プロフィールと家族|息子のポール邦昭さんの現在、嫁の万里子夫人はどんな女性だった?

2018.03.24

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3 件のコメント

  • ドラマの最後で丸山邦雄さんの体験に基づいたフィクションとテロップが入っていたが適切ではないと思う。
    それとも何か重大な創作があるのだろうか?
    基本的体験に沿って作られているのであればノンフィクションとするか、或いは敢えてこれを付け加える必要はないのだが。

    • 新貝尚生 さん

      コメントありがとうございます。
      ところどころ、ドラマ仕様にした点があったのかもしれませんね。

  • 「どこにもない国」のドラマを見て、同時のそのままで、たまらなく涙が出てきます。
     奉天に住んでいました。中学4年の時学徒動員で満州四平街で終戦になり、奉天になとか戻る事が出来ました。同じ同級生でも家に帰れない者は、部隊と一緒にシベリアに連れて行かれ、知っている一人は凍傷で足を切断し栄養不足で死んだ事を、偶然に出会った同級の者から聞きました。
    ソ連国境近い北の開拓団の難民が避難してきて、家でも引き受け少ない食料を分けて生き延び、日本に引き揚げる事は出来るのかと夢み、このままになってしまうのかと思う毎日でした。
    多くの避難民は言っていました。「守って呉れるはずの満州国政府に居た日本人の高官はいち早く、飛行機で日本に逃げ帰ってしまった。」
    忘れる事の出来ない事です。
     その人は戦犯で巣鴨の拘置所を無罪で出て、何食わぬ顔して政治家に成りすまし、満州の惨状の事など何一つ聞く事がありません。
     丸山さんの様な方が居られた事、ご苦労のお蔭で引き上げて来れた事、全く知りませんでした。いいようの無い感謝です。

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